Q.歯医者で関係があるアレルギーって何ですか?

今回は、歯医者の治療とアレルギーについてご紹介します。

1.アレルギーとは
2.歯科治療とアレルギーの関係
3.薬剤アレルギー
4.ラテックスアレルギー
5.金属アレルギー
6.レジンアレルギー

1.アレルギーとは

「アレルギー」とは、免疫の働きがさまざまな理由で異常を起こし、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの症状を起こしてしまう状態が「アレルギー」です。

私たちの身体は、細菌・ウイルス・寄生虫などの感染性の微生物や異物などから身を守るための「免疫」という仕組みが備わっています。

アレルギーは、アレルギーを起こす物質のアレルゲンを身体から取り除こうと、身体が必要以上に過剰な反応をしてしまうことが原因です。

国立成育医療研究センターより

アレルギー疾患には、
・食物アレルギー(卵アレルギーなど)
・アトピー性皮膚炎
・アレルギー性鼻炎(花粉症も含む)
・アレルギー性結膜炎
・気管支喘息(ぜんそく)
・薬剤・昆虫アレルギー
など、発症する症状の違いや、種類もも多岐にわたるため、反応の程度は人によって異なります。

また、アレルギーが何によって起こって、身体のどの部分に症状が出るかで病名が変わります。

例えば上記にある通り、気管支でアレルギーの反応が出て、気管支が狭くなると咳や呼吸がゼイゼイする症状が出て、「気管支喘息」になります。

他には、花粉でくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが出てくると、「花粉症」になり、くしゃみで体内に入った花粉を体から出しています。

重篤になると、アナフィラキシーショックというショック症状が起こると、命に関わることもあります。

2.歯科治療とアレルギーの関係

歯科治療に関連するアレルギーは、主に以下の4つです。

・薬のアレルギー・ラテックスアレルギー・金属アレルギー
・レジンアレルギー

下記で詳しくご紹介します。

3.薬剤アレルギー

薬剤アレルギーは、薬によって起こるアレルギーで、薬疹と呼ばれることもあります。
薬が持っている本来の作用とは関係なく、症状が起こる人がいます。
使用した薬が少量でも症状が出ることがあります。

薬が原因と思われる症状が出たとしても、必ずしもアレルギーとは限らないので、アレルギー検査を行って、医師による正確な診断が必要です。

薬剤アレルギーは薬剤を使用した後、症状が出る時間に個人差があります。
・数分〜数時間で症状が現れる「即時型アレルギー」
・数日以降に現れる「遅延型アレルギー」
の2種類があります。

即時型アレルギーは、
・じんましん
・喘鳴
・嘔吐
・血圧低下などの症状が起こります。
重症の症状が出ると「アナフィラキシー」と呼ばれます。

遅延型アレルギーは、
・皮膚や粘膜に皮疹(薬疹)が出る
・発熱
・全身の臓器障害
など、人によりさまざまな症状が見られます。

国立成育医療研究センターより

歯科医院では稀に、抗生物質・消炎鎮痛剤(痛み止め)などの薬を使った時に薬剤アレルギーが出る方がいます。

薬でアレルギーが出たことがある方は、歯科医院で治療する際に事前に歯科医師に伝えておくことが大切です。

4.ラテックスアレルギー

ラテックスアレルギーは、天然ゴム(natural rubber latex) を使っている製品に接触することで起こります。

栗林歯科医院では、患者様と医療従事者の感染を防ぐために、常にグローブをして治療を行っています。
グローブは、ラテックスという原材料から作られます。過去に、ゴム類などでかゆみ、発疹が出たことがある方は、必ず歯科医師に伝えましょう。
(栗林歯科医院では、ラテックスフリーのグローブも用意しています)

また、ラテックスアレルギー患者の30~50%がフルーツアレルギー(ラテックスフルーツ症候群という)も発症すると言われています。アボガド・キウイ・バナナ・栗のアレルギーがある方も、必ず歯科医師に伝えることが大切です。

5.金属アレルギー

金属アレルギーは、金属に触れたり、金属が成分に含む食べ物を食べることで起こるアレルギーです。
ニッケル・コバルト・クロムという3つの金属は、特にアレルギーが起こりやすいと言われています。

アレルギーで出る症状は、
・身体の広い範囲に赤みやかゆみが出る
・ブツブツなどの皮膚症状が出るなどです。

むし歯治療の時に、銀歯(パラジウム)などを入れた方でアレルギーを発症した場合は、
・お口の中がただれる
・全身に赤紫のブツブツが出る
・足の裏や手のひらに水ぶくれがたくさんできる
などの症状が出ることがあります。

銀歯でアレルギーを発症するリスクを減らすため、むし歯治療をしなくて良いように、日頃から歯に対しての予防を心がけましょう。

また、現在、ほぼ日本では治療で使われなくなった金属ですが、「アマルガム」という金属がお口の中に残っている方がいます。

アマルガムという金属は「水銀」を含んでいます。
水銀は、全身に影響する慢性疾患の原因となりうるという報告もあります。

20〜30年前にお口の中を治療した際に銀歯を入れたという方は、一度、歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。

また、歯科医院で治療を行う必要がある際は、ご自身で金属アレルギーにならないように予防することができます。
既に詰め物・被せ物をしなければいけない状態となっている場合は、「セラミック」という白い陶器の材質にすることで、金属アレルギーの予防になります。

むし歯の治療時に、金属アレルギーが気になる方は、当院の歯科医師にお気軽にお問い合わせくださいね。

6.レジンアレルギー

レジンアレルギーは、合成樹脂というプラスチックに対するアレルギーです。
浅いむし歯にもレジンを使用して、むし歯を削った後を修復します。

レジンアレルギーが起こる理由は、完全に固まっていないレジンから出る化学物質が原因だと考えられています。

レジンアレルギー症状は治療後すぐではなく、半日以上経過してから症状がみられるケースが多いと言われています。

症状は、顔・首・手足などに
・皮膚に湿疹が出る
・じんましんが出る
・水ぶくれが出る
・かゆみが出る
・赤みが出る
などの症状があります。

お口の中の症状は、
・粘膜が腫れる
・粘膜が赤くなる
・粘膜が熱を帯びる
・粘膜が痛みを感じる
などが出ます。

さし歯・詰め物・入れ歯・仮歯・接着剤など、歯科治療でも数多くレジンが使われています。

レジンアレルギーが出た場合は、アレルギーの原因であるレジンを、お口の中から除去することができる対策です。

セラミック治療を行ったり、レジンを避けた治療を行うことで、アレルギーの予防や対策ができます。

歯科に対してのアレルギーなどで不安なことがある方は、お気軽にご連絡くださいね。

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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