唾液検査で予防!あなたのむし歯のなりやすさをチェックしよう

唾液には多くの作用があります。
その多くの作用で、お口の中の環境は整えられています。

今回は、その唾液を調べ、事前に自分のお口の病気のリスクがわかる、唾液検査というものについてご紹介します。

1.むし歯になる原因とは?
2.唾液検査で調べられること
3.唾液検査の手順

1.むし歯になる原因とは?

むし歯とは、口の中に存在するむし歯菌が酸を作り出し、その酸が歯を溶かし、やがて穴が空いてしまう病気です。
この歯が溶けていく過程を脱灰といいます。

ですが、脱灰が起きたからといって、すぐにむし歯になるわけではありません。
唾液には、溶け出した歯を再び修復する働きがあります。
これを再石灰化といいます。
初期むし歯は、再石灰化によって治すことができます。

※画像引用元(アパガード

むし歯になる原因は、主に下記の3つです。

・食事の習慣
・歯を守る力
・虫歯菌の数

この3つの条件が全て悪くなった時に、初めてむし歯になります。
むし歯になりやすい人・なりにくい人がいるのは、この条件の数値が人によって違うからです。

2.唾液検査で調べられること

唾液検査という検査では、患者様の唾液を採取し、培養した後にお口の中の細菌の量を調べます。
検査内容は以下の通りです。

1)唾液量

唾液が十分に分泌されているか、唾液の量を調べます。
唾液の量が多いと、下記のメリットがあります。

・口の中の食べ物を、早く洗い流す
・歯の質を強くする
・抗菌作用が働く

逆に、唾液の分泌量が減少すると、お口の中の食べ物を洗い流せず不衛生になり、バイ菌が増殖しやすくなってしまいます。

さらに、再石灰化が進まなくなってしまうので、脱灰が進みやすく、虫歯になりやすくなります。
極端に唾液量が少ない方は、水分量が適切かどうか、全身疾患に問題はないかを確認します。
検査では、5分間、専用のガムを噛み、唾液の量を調べます。
(ガムを噛める年齢の方であれば、検査を受けることができます)

2)唾液が中性になるチカラ(緩衝能)

唾液の1つの作用として、脱灰を防ぐ、というものがあります。

食事をとるとお口の中は、むし歯菌が酸を作り、酸性になります。
酸性のままだと歯がどんどん溶けていきます。
唾液には、その状態から中性に戻そうとするチカラがあり、そのチカラがどれだけ強いかは人により個人差があります。
検査では、酸を中和させる能力(緩衝能)を調べます。
決まった時間に食事を摂らない、いわゆるダラダラ食べをしていると、緩衝能が低下する傾向にあります。
唾液緩衝能が低い方は、食生活の確認を行います。

3)ミュータンス菌の採取

ミュータンス菌の引用(株式会社ヤクルト本社)

ミュータンス菌は、むし歯のきっかけを作るバイ菌と言われています。
歯に付着する力を持っており、酸を作り出し虫歯を発生させます。
砂糖をエサにして活動をしています。

元来、赤ちゃんのお口の中にはバイ菌はいません。

しかし、お母さんと同じスプーンで小さく刻んで食事をあげるなどすると、お母さんの口の中のバイ菌が移り、赤ちゃんのお口の中にバイ菌が繁殖します。
この時に移るバイ菌がミュータンス菌と言われています。

感染の窓といって、生後19ヶ月~31ヶ月が特に感染しやすいと言われています。
ミュータンス菌は、減らすことが困難と言われていますが、歯ブラシを頑張ることでミュータンス菌の活動抑えることは可能です。

人によって菌の多さが違うので、むし歯のなりやすさに個人差が出ます。
検査では、菌がどのくらいいるのかを調べます。

4)ラクトバチラス菌の採取

ラクトバチラス菌の引用(株式会社ヤクルト本社)

このラクトバチラス菌は、むし歯の進行に関わるバイ菌と言われています。

ミュータンス菌と同じく、歯ブラシを頑張ることによってバイ菌の数を減らすことはできますが、歯にくっつくことができないので、むし歯でできた歯の穴や、形の合わなくなった詰め物や被せものなどの段差に生息します。
その穴や段差から、むし歯を掘り進め、進行しやすくなります。

3.唾液検査の手順

当院では、唾液検査を60分×2回(検査・結果説明)で行っています。
料金は、¥5,500(税込)です。
検査は、下記の手順で行います。

1)唾液量の測定

5分間ガムを噛み、唾液がどれくらい出るか測定します。
唾液量が少ないほど、むし歯が進行しやすくなる原因になります。

2)唾液緩衝能の測定

採取した唾液をデントバフストリップスという紙に垂らし、5分間で色の変化があるか見ます。
【唾液緩衝能】とは、酸性に傾いたお口の中の環境を中和させて脱灰(歯の表面が溶けていくこと)が起こりにくくする働きのことを言います。
この唾液緩衝能が弱いと、お口の中は脱灰が起こりやすい環境となるため、むし歯になりやすくなります。

3)ミュータンス菌の採取

検査の棒を舌の上で叩き、ミュータンス菌がどれだけいるか調べます。

4)ラクトバチラス菌の採取

採取した唾液を寒天培地にかけ、ラクトバチラス菌がどれだけいるか調べます。

唾液検査の流れは以上です。
唾液検査では、患者様一人一人のむし歯のリスクや原因が分かるので、それぞれに合ったむし歯の予防プランをご提案することができます。

むし歯ができやすい、という方はぜひ一度、唾液検査を行い、ご自身のむし歯リスクを知りましょう!

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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