今回は、妊娠中の歯周病、妊娠性歯肉炎についてご紹介します。
妊娠中は妊娠性歯肉炎(歯周病)になりやすく、妊娠2ヶ月目から発症するリスクが高くなり、8ヶ月で発症リスクが最大になるといわれています。
1.妊娠性歯肉炎になると起こる症状
2.妊娠性歯肉炎になる原因
3.胎児への影響
1.起こる症状
妊娠性歯肉炎(歯周病)になると、下記2つの症状が起こります。
1)歯ぐきが赤黒く腫れる(部分的に症状が出ることもあります)
2)歯ぐきから出血しやすくなる(部分的に症状が出ることもあります)
※どちらも痛みは感じないことが多いです
2.妊娠性歯肉炎になる原因
妊娠性歯肉炎(歯周病)になる原因は、下記3つです。
1)女性ホルモンの分泌が増加する
妊娠中の女性の妊娠性歯肉炎(歯周病)リスクが増えるのには、女性ホルモンが大きく関わっていると言われています。
エストロゲンという女性ホルモンが増加することによって、ある特定の歯周病菌の発育が促進され、増殖を促してしまいます。
また、歯肉の細胞がエストロゲンの標的となることで、より歯周病にかかるリスクが増えてしまいます。
これらのホルモンは、妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、妊娠中期から後期にかけて、妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。
2)妊娠で食の好みの変化や、食べる回数が増える
妊娠によって、食事の好みが変化し、甘いものや酸味のあるものをより食べるようになったり、食べる回数が増えることでお口が酸性に傾きやすくなります。
そしてそれは、むし歯になるリスクを高めます。
むし歯になると、その周りにはさらにバイ菌がつきやすくなり、やがて歯周病の原因になります。
3)つわりで十分に歯磨きができない
十分に歯みがきができない状況が続くと、お口の中の衛生状態が悪化し、お口の中で歯周病菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
しかし、これに関してはむし歯と同じで、妊娠が原因で妊娠性歯肉炎になるのではなく、お口の中にばい菌が残っている不衛生な環境が原因なので、清潔なお口の中では、歯肉炎にならないか、起こっても軽度の歯肉炎で済みます。
3.胎児への影響
ご自身だけでなく、胎児にも関わる病気です。
妊娠中の女性が妊娠性歯肉炎(歯周病)にかかると、口腔内が健康な母親と比較して、低体重児・早産(切迫性早産)のリスクが、通常の7.5倍になるデータもあります。
これは喫煙やアルコールが及ぼす影響(1.5~2倍)よりも遥かに高い数値と言われています。
上記を予防するには、ご自宅でのケアと、歯科妊婦検診に行くことが大切です。
妊婦の方で、まだ歯科妊婦検診に行っていない方は、ぜひお気軽に当院に一度ご連絡ください!
栗林歯科医院 歯科衛生士 監修