1.お茶とむし歯の関係
2.1日のお茶の摂取量
1.お茶とむし歯の関係
お茶には「フッ素」や「カテキン」が含まれているため、むし歯になりにくくしてくれます。
(糖が入っていないものに限ります)
1)むし歯のメカニズム
むし歯とは、「ばい菌」が糖を食べて出す「酸」によって歯が溶けてしまうことです。ばい菌が直接、歯を食べているわけではありません。
食事をするたびにお口の中は酸性状態になり、溶かされます(脱灰)。
酸性状態のお口は、唾液の力で徐々に中和されていきます。
中性に近づくと、溶けた歯が再び形成されます(再石灰化)。
溶ける量(脱灰)に対して、形成(再石灰化)が追いつかないと、歯に穴が開いてしまいます。
その状態がむし歯です。
次に、お茶に含まれる「フッ素」と「カテキン」の働きについてご紹介します。
2)フッ素の3つの働き
①歯の質を強化する(歯を酸に溶けにくい性質に変えてくれる)②エナメル質の修復を促進する(溶かされた歯の成分を修復)③ばい菌の働きを弱める
3)カテキンの2つの働き
①むし歯菌を増えにくくする(殺菌効果はない)②むし歯菌が糖から酸を産生しにくくする
2.1日のお茶の摂取量
お茶の摂取量を増やしてもあまり効果的はないです。
それより、もっとおすすめの方法があります。
フッ素は唾液中に停滞していることで、歯を丈夫にしてくれます。そのため、飲むよりもうがいをした方が効果的です。
お茶でうがいをした時の唾液中のフッ素濃度は、うがい直後だと下記の通りです。
・紅茶0.8ppmF
・ほうじ茶0.68ppmF
・煎茶0.5ppmF
・烏龍茶0.33ppmF
ですが、30秒後は0.2ppm以下にまで減り、5分後になると、唾液中のフッ素濃度と同じレベルまで低下してしまいます。
つまり、お茶でのうがいは、そこまで強いむし歯予防効果は期待できません。
それよりも、「イエテボリテクニック」のうがい方法の方が、むし歯予防効果が期待できます。
1)イエテボリ法の手順①フッ素入りの歯みがき粉をたっぷり使う②歯みがきの後は少量の水で流す(片手ですくえる程度)
フッ素は唾液中に停滞することで、歯を丈夫にしてくれます。口をゆすぐ回数が多いと、それだけフッ素を流してしまうことになります。
そのため、せっかくフッ素入りの歯みがき粉を使うのであれば、あまり流さないようにしましょう。
この方法は、年齢関係なくできる、むし歯の予防方法です。
WHO(世界保健機構)によると、1,000ppmF以上の歯みがき粉では、濃度が500ppmF高くなるごとに、6%むし歯予防効果が高くなると言われています。
残念ですが現在は、永遠に歯が残せるような、むし歯の治療法はありません。
まだむし歯になったことのない方は、今後むし歯にならないようにし、既にむし歯を経験している方は、再発の時期を少しでも遅らせられるように予防の考え方を持って、自分の歯を大事にしましょう。
歯についてお悩みがある方は、お気軽にご相談くださいね。
栗林歯科医院 歯科医師 監修