今回は、むし歯になるメカニズムをご紹介します。
1.食事をすると必ず歯が溶ける
2.脱灰が再石灰化を上回る
3.脆くなった歯に噛む力が加わる
4.歯みがきでばい菌を除去できなくなる
5.歯を削って詰める(むし歯治療)
1.食事をすると必ず歯が溶ける
調べによると、日本人は3〜4年に一度、新しいむし歯ができているそうです。(2017年歯科疾患実態調査から計算)
原因は、歯みがきがしっかり出来てなかったり、甘いものを食べすぎているからだと思っている方もいると思います。しかし、原因はそれだけではありません。
普段のお口の中のpHは基本的には中性で保たれています。
ですが、食事をすると、・歯の表面についているばい菌
・唾液中に潜んでいるばい菌
・食べ物・飲み物自体の酸
の作用によって歯が溶けます。
歯が溶けている状態を「脱灰」といいます。
pHが5.5以下になると、歯が溶けやすくなります。
脱灰すると、
・炭酸カルシウムイオン・リン酸イオンという成分が歯から溶け出しますが、唾液が中性に戻るに従い、唾液の緩衝作用で唾液中に溶け出しているカルシウムやリンの成分が中性に戻り、再び成分が歯に取り込まれていきます。
この現象を「再石灰化」といいます。
(画像引用元:アパガード)
脱灰の時間が短いほど、再石灰化の時間が長くなり、初期むし歯は、この再石灰化によって治すことができます。
しかし再石灰化が追いつかず、脱灰がさらに進行して歯のエナメル質に穴が開いてしまうと、「むし歯」になります。
2.脱灰が再石灰化を上回る
・歯が溶ける量が多い
・歯が溶けている時間が長い
の状態が続くほど、再石灰化が追いつかなくなってしまいます。
糖分の多い食事を取れば、ばい菌が出す酸の量が増えます。
食事をダラダラ長い時間とったり、甘い飲み物をダラダラ飲むと、歯が溶けている時間が長くなります。
3.脆くなった歯に噛む力が加わる
噛む力は、自分の体重以上の力を出せると言われています。
体重が50kgの人だったら、50kg以上の力が歯に加わるということです。カルシウムが溶け出し、脆くなった歯に体重以上の力がかかれば、欠けてしまうことも珍しくありません。
4.歯みがきでばい菌を除去できなくなる
歯が欠けてしまった部分は、ばい菌が繁殖しやすい環境です。
歯みがきでもフロスでも届かないですが、糖分は届いてしまうので、菌にとってはとても繁殖しやすい環境になってします。
そして、やがてむし歯によって、歯が欠けたり、穴が空いてしまう病気を「むし歯」と言います。
5.歯を削って詰める
むし歯によって欠けたり、穴が空いたら、むし歯になった部分を削って穴を埋めるのが、むし歯治療です。
ですが、日本は歯やお口の中があまり重要視されない傾向があります。
例えば、足の一部が壊死したら義足を作ったり、壊死した原因を考えたり、専門家に理由を聞いたりすることもあると思います。
ですが、歯は一部が欠けても、詰めただけで原因をあまり考えないというような意識の差があることが多いです。
手遅れになる前に、早期にむし歯は治療しましょう!
早期に治療するほど、歯を残せる可能性が高まります。
お気軽に栗林歯科医院にご相談くださいね。
栗林歯科医院 歯科医師 監修