0.歯が白くなっている部分
1.初期段階のむし歯の場合
2.エナメル質形成不全症の場合
3.フッ素症の場合
4.歯石がついている場合
5.乳歯・永久歯に突起が付いている場合
0.歯が白くなっている部分
しみたり痛みはないけど、歯の表面に白い斑点のような模様ができることがあります。
歯が部分的に白くなっている箇所を「ホワイトスポット」と言います。
今回は、ホワイトスポットの原因を含めた、5つの歯が白くなってしまっている原因をご紹介します。
1.初期段階のむし歯の場合
歯ブラシが上手にできておらず、ばい菌がお口の中に残っていたりダラダラ食べをしていると、歯の表面からミネラル分が溶け出して「脱灰」を起こします。
それを何回も繰り返していると、歯は徐々に白く濁っていき、見た目でも分かるようになります。白く見えている状態は「初期むし歯」または「CO(シーオー)」と呼ばれます。
歯の表面は、エナメル小柱と呼ばれる柱状の構造が密集・整列しています。エナメル小柱が酸で溶かされることで、小さな穴が空いたようになります。
COになった歯は、健全な歯と光の屈折率が違い、光の乱反射が起こり、透明感が消えて白っぽく見えます。これは、気泡がたくさん含まれた氷が白く見えるのと同じ原理(ミー散乱)です。
ですがこの段階はまだ、削って治療が必要な段階ではありません。
COになった歯は、日常的な歯ブラシでばい菌を取り、予防処置としてフッ化物(フッ素)の塗布をしたり、フッ化物(フッ素)入りの歯みがき粉・洗口剤などを使って、再石灰化を促進して歯を修復して、現状維持できるか、経過を見ます。
むし歯を防ぐ方法は、お家でセルフケアを行い、むし歯になりにくい環境を作りつつ、3ヶ月に1回、歯科医院に行き、むし歯が早期発見できるようにしましょう。
また、歯科衛生士から、むし歯にならない適切な歯みがきの仕方について学んで、これ以上むし歯が進行しないようにすることも大切です。
2.エナメル質形成不全症の場合
エナメル質形成不全症は、歯の表面の「エナメル質」がうまく形成できていない状態です。
エナメル質が薄かったり、もしくはエナメル質がない場合は、象牙質が剥き出しで白く見えることがあります。
エナメル質形成不全症は遺伝や、歯の発育段階の時に外傷を受けたり、乳歯に大きなむし歯ができた影響が永久歯にまで及んでエナメル質形成不全が起きることがあります。
エナメル質形成不全の場所はむし歯になりやすい上に、むし歯になってしまうと進行も早いので、より一層注意が必要です。
疑わしい歯がある場合は、歯科医院に一度、相談しましょう。
3.フッ素症の場合
フッ素症は、小さい頃の永久歯が形成される時フッ素を多量に摂取すると、歯の表面に白い斑点のような模様(斑状歯)が出ることがあります。
歯は、歯の頭ができて、根っこができていきますが、頭ができる段階でフッ素を大量に摂取すると斑状歯になります。
しかし、日常の歯みがき粉などに含まれるフッ素の量だけでは、フッ素症は起こりにくいです。
4.歯石がついている場合
歯石がついていると他の歯の色と違い、白く見えることがあります。歯石は、歯垢(プラーク)というばい菌の塊が石灰化して固まった状態です。
歯垢(プラーク)は、最初はネバネバした柔らかい状態なので歯みがきを行うことで取れますが、歯についた状態を放置すると唾液中のリンと結びつき、やがて硬い歯石となります。
歯石がついてしまった場合は、歯医者さんの専用の器具で落とすことができます。
専用の器具で落とすことはできますが、歯石がつかないように、毎日ばい菌を落とすような歯みがきを行うことが大切です。
5.乳歯・永久歯に突起が付いている場合
最後に、ホワイトスポットという状態ではないものをご紹介します。
このような状態は、最初から歯の形が違うことで、白く見えてしまうことがあるものです。
乳歯・永久歯に歯が生えた時点で突起が付いていることがあり、状態によって「カラベリー結節」「中心結節」など名前が異なります。
この状態は、歯の形のため問題ないものです。
ですが、むし歯になるリスクが高い歯のため、歯医者さんに定期的に通うなど、経過観察が必要です。
歯にいつもと違う違和感を見つけたら、「検診希望」で歯科医院に相談しましょう!
栗林歯科医院 歯科医師 監修