今回は、妊娠中に急増する、お口トラブルについてご紹介します。
妊娠中は、ご自身のお身体はもちろんのこと、おなかの赤ちゃんのことも労りながら日々を過ごしていくことと思います。
お腹の中で発育している赤ちゃんのためにも、お母さんのお口の健康を守ることがとても大切になってきます。
妊娠期は女性の一生の中で特に、お口に様々な影響を起こしやすい時期だといえます。
妊娠中に起こりやすいお口トラブルは、下記の4つです。
1.むし歯にかかりやすく、進行しやすい
2.歯周病にかかりやすく、進行しやすい(妊娠性歯肉炎)
3.口臭が発生しやすい
4.口内炎になりやすい
1.むし歯にかかりやすく、進行しやすい
むし歯の原因は、妊娠の有無に関わらず、ブラッシング不足です。
そのため、むし歯が発生する原因に変化はありませんが、特に妊娠中は生活習慣の変化に伴い、口腔内環境が悪化することで、むし歯の発症と進行を促進させてしまう方が多く見受けられます。
妊娠により、食の好みの変化や、食べる回数が増えることでむし歯リスクが上がったり、
特に、吐きづわりがある方は、
・歯みがきを行うこと自体が難しくなる
・つわりで胃酸が逆流することで、口腔内の環境が酸性に傾く
の理由で、よりむし歯のリスクが上がります。
2.歯周病にかかりやすく、進行しやすい(妊娠性歯肉炎)
妊娠中は歯周病(妊娠性歯肉炎)になりやすく、妊娠2ヶ月目から発症するリスクが顕著になり、8ヶ月で最大になるといわれています。
歯肉炎になると、歯ぐきが腫れる・歯ぐきから出血しやすくなる、という症状が見られるようになります。
妊娠中の女性の歯周病リスクが増えるのには、女性ホルモンが大きく関わっていると言われています。
エストロゲンという女性ホルモンが、ある特定の歯周病菌の増殖を促すこと、また、歯肉の細胞がエストロゲンの標的となることで、より歯周病にかかるリスクが増えてしまいます。
これらのホルモンは、妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、妊娠中期から後期にかけて、妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。
ただ、むし歯と同じで、基本的には歯垢(プラーク)がない清潔なお口の中では歯肉炎にならないか、起こっても軽度の歯肉炎で済みます。
重度の歯周病にならないよう、妊娠中は特に気をつけてセルフケアを行いましょう。
3.口臭が発生しやすい
妊娠中は、お口の中の細菌の変化や、ストレスにより唾液の分泌量が減少します。
唾液にはお口の中の殺菌作用や、食べ物を洗い流し、お口の中をきれいにする働きがあるため、お口の中が乾燥すると細菌が繁殖して、口臭が起こりやすくなります。
4.口内炎になりやすい
妊娠中は、免疫の低下、ビタミン不足、ストレスなどから口内炎ができやすくなると言われています。
妊娠中のお口のトラブルは、歯科医院での検診(メインテナンス)・ご自宅での歯みがきなどのセルフケアがとても大切です。
検診(むし歯の検査、歯周病の検査、クリーニング)を受診して、お母さん自身と、これから生まれてくるお子様のためにも、健康なお口の中を保ちましょう!
栗林歯科医院 歯科衛生士 監修