コロナに負けるな!知って得する中学生でもわかる免疫学

栗林歯科医院 歯科医師 監修

現在、 新型コロナウイルスがものすごい勢いで流行しています。
たくさんの情報が飛び交う中、ウイルスや細菌学を習ったことがない人にとって、ウイルスに関連する情報は正しいかどうかを判断するのは難しいと思います。
そこで今回は「中学生でもわかる免疫学」をテーマに、コロナ対策についてお伝えしていきます。

ー中学生でもわかる免疫学ー
1. 感染はどうやって起こる?
2. どうやって体は守られる?自然免疫のお話
3. 自然免疫 → 獲得免疫
4. 抗生物質と抗ウイルス薬の違い
5. これが新型コロナウイルス対策

1. 感染はどうやって起こる?

皮膚は死細胞である角質が覆っています。角質は細菌・ウイルスの侵入を防ぐ役割を持っています。

しかしながら、粘膜は食べ物を吸収したり、酸素を取り入れたりするために角質がありません。
粘膜は異物の侵入を防ぐために粘液を出し、繊毛という毛のような構造を表面に出して異物を洗い流しています。
そして、鼻水として体外に出したり、胃で胃酸によって殺菌しています。

喉が乾燥すると喉を覆っている粘液が少なくなり、細菌やウイルスが侵入しやすくなってしまいます。
そのため喉を乾燥させないことは感染を防ぐ上でとても重要です。
冬場の乾燥した時期にインフルエンザが流行りやすいこともこれが原因の一つとして考えられます。

皮膚が傷ついたりして角質のバリアを突破したり、粘液のバリアを突破した細菌たちは細胞外で増殖します

細菌は細胞の外で増殖しますが、ウイルスは細胞内で増殖します。
ウイルスは細胞のレセプターに付着して細胞内に侵入し、自身の遺伝子を細胞の遺伝子に組み込むことで増殖します。
そして出芽し、近くの細胞へとまた感染が広がるのです。

2.どうやって体は守られる?免疫の話

体を守る免疫には2種類あります。 一つは自然免疫。どのような細菌・ウイルスが侵入した時にも最初に起こる免疫です。
もう一つは獲得免疫。初めての感染から数日間経ってからおこる免疫です。

まず最初に異物が侵入した際には細胞と細胞の間に潜んでいるマクロファージや血液中に多くいる好中球は細胞間に入ってきて異物を認識し破壊します。

マクロファージが細菌を食べるとシグナルを出して血液中の好中球を呼び寄せます。

血管内皮細胞に隙間が大きくできることで、好中球や水分が組織の中に入っていき、その部分は腫れたり、熱を持ったりします。
細菌を食べた好中球はエネルギーを使い果たし残骸となります。これが膿です。

細胞の中に入ってしまったウイルスには好中球などは手出しができません。
ナチュラルキラー細胞は異常のある細胞を認知し、それを破壊してくれます。
その時、細胞の表面に出ているウイルスの形を記憶し、他にも同じ異常のある細胞を破壊していきます。

3. 自然免疫から獲得免疫へ

異物を取り込んだマクロファージや樹状細胞は末端の組織からリンパ節へ移動し、未熟な免疫細胞(後のヘルパーT細胞)に異物の情報(抗原)を提示します。

情報を受け取った未熟なヘルパーT細胞は2種類に分化・増殖します。
一つはウイルス・寄生虫感染などで活躍するヘルパーT細胞①(Th1)
もう一つは細菌感染で活躍するヘルパーT細胞②(Th2)です

ヘルパーT細胞①は末端の組織へ移動し、マクロファージを活性化したり、キラーT細胞を活性化します。
活性化したマクロファージは直接異物を取り込み 活性化したキラーT細胞はウイルスや寄生虫に感染した細胞やガン細胞などの異常のある細胞を破壊していきます。
これが細胞性免疫です。
ウイルスは細胞の中で増殖するので細胞性免疫が主役になります。

ヘルパーT細胞②(Th2)は抗原に対する抗体を持つB細胞を形質細胞へ変化させます。
形質細胞は抗体を大量生産することができます。
B細胞の一部はメモリーB細胞として次に感染した際にすぐに抗体を産生する過程に入れるように保存されます。
抗体には4つの機能があります。

①オプソニン化:抗原に対して抗体がつくと好中球に食べられやすくなります

②中和作用:ウイルスにくっつくことで細胞内への侵入を防ぐことができます

③凝集作用:複数の異物を吸着して粘液・繊毛に流されやすくします

④補体活性作用:炎症を引き起こす補体というものがひっつくようになり、免疫細胞を引き寄せたり、細菌を破壊したり、発熱したりといった作用があります。

2回目以降の感染ではマクロファージなどの抗原提示をしなくても、1回目の感染で抗体を作ったメモリーB細胞が抗原を認識して形質細胞へとすぐに変化します。
これによってすぐに抗体が作られ、好中球などの免疫細胞が活性化します。

しかし、初めての感染では抗体が作られるまでには数日間かかるため、マクロファージやナチュラルキラー細胞といった自然免疫が重要な役割を担います。

4. 抗生物質と抗ウイルス薬

抗生物質は細菌の

①細胞壁を合成阻害
②細胞膜を合成阻害
③DNA・RNAを合成阻害
④タンパク質を合成阻害

といった作用で細菌の繁殖を妨害します。
人体が持つ構造と遠いほど細菌にのみ選択的な毒性を持つため、細胞壁を合成阻害する抗菌薬は、人体への毒性が低いものが多いです。

しかしながらウイルスには細菌の持っている特性がありません。そのため抗生物質は全くウイルスに効きません。

抗ウイルス薬はウイルスの侵入後、増殖~細胞の外に出るまでのどこかを妨害する薬です。
免疫細胞が作った抗体は侵入前の吸着を妨害します。

インフルエンザ等のワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるものです。 ウイルス表面の成分だけを取り出し、それを体内に投与することで異物としてマクロファージなどに取り込まれ、免疫細胞へ抗原提示されて、抗体が作られます。 ウイルスの増殖を直接抑える作用はないため、すでに感染している人に摂取しても全く効果はありません。

5.新型コロナウイルス対策!

そもそもコロナウイルスというのはありふれた風邪ウイルスの一種です。
通常の風邪の15~20%はコロナウイルスが原因とされています。
通常のコロナウイルスは上気道の粘膜に付着しやすいため鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の痛みなどの症状が出やすいです。

新型コロナウイルスは表面性状が異なり、肺の粘膜に付着しやすい構造に変化しています。
そのため通常のコロナウイルスより肺炎になりやすいことがわかっています。
また、インフルエンザウイルスよりも鼻水に多く検出され、飛沫感染、接触感染(飛沫を触った手による感染)が多く起こりやすいと考えられます。
現在のコロナウイルスの問題点は

があります。

現在できる対策としては

①自然免疫を鍛える(ウイルスの感染を防ぐ)

②感染リスクを避ける(ウイルスに出会わない)

③手指消毒・マスク(ウイルスの侵入を防ぐ・拡散を防ぐ)

これが最も大事になります。 ほとんどの感染が、手についたウイルスで口や目や鼻に触ることで起こると言われています。
手指消毒を徹底すること、マスクを着用することでウイルスに触れる機会が激減します。

④ピークを抑える・抗ウイルス薬/ワクチン開発を待つ
上のような対策を通じて、終息を待つ・ピークを抑えることが現在できることです。
将来的には風邪ウイルス・インフルエンザと同じ扱いになると考えられます。
2009年に流行した新型インフルエンザは現在も流行していますが、現在のコロナウイルスのように扱われていません。
これはワクチンが開発されたこと、抗ウイルス薬が存在することだけでなく、社会的に順応したことが要因と考えられます。
ちなみに現在のインフルエンザワクチンには従来と新型の両方の成分が含まれています。
コロナウイルスもいずれワクチンができると考えられています。

⑤おまけ(期待)

 

もしかしたら、将来的に歯医者さんに通うことがウイルス対策になるという研究が発表されるかもしれません!
以上が今回お伝えしたかった「〜中学生にもわかる免疫学〜」からの新型コロナウイルスへの対策でした!

栗林歯科医院 歯科医師 監修

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