今回は、乳歯のお子さんに矯正が必要か、また、小児矯正のメリットとデメリットをご紹介します。
1.小児矯正を行う目的
2.小児矯正を行うメリット4つ
3.小児矯正を行うデメリット4つ
4.永久歯が順番に生えないと起こること
1.小児矯正を行う目的
小児矯正の目的は、2つあります。
成人の骨格に顎が成長し始める11歳(思春期成長期)よりも前に、
1)将来、歯が綺麗に並ぶために、矯正で顎の成長を促す
2)骨格的な、顎の位置関係を治す
ことです。
矯正治療というと「歯を綺麗に並べる」というイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
しかし、歯を綺麗に並べる矯正は、主に大人の矯正治療に多く、小児矯正は他の目的で行うことが多いです。
小児矯正を行うと、将来成人矯正を行う場合に、抜歯の可能性を減らせます。小児矯正を行うと、将来的な歯と顎への負担が少なくし、治療の選択肢の幅を広げることが可能です。
2.小児矯正を行うメリット4つ
小児矯正を行うメリットは、下記の4つです。
1)将来、永久歯を抜歯せず矯正できる可能性が高くなる
2)歯並び全体のバランスが整えられる
3)将来、歯並びの問題による外科手術を行う可能性が低くなる
4)小さい頃から、舌癖を治せる、お口周りの筋肉トレーニングを習慣化できる
小児矯正は顎の成長と並行して行うため、成人矯正とは違ってリスクを避けられる可能性が高いのが特徴です。
例えば、成人矯正時に抜歯をすることがありますが、小児矯正を行うことで、将来的に抜歯しなくて良い可能性が高まったり、外科手術を避けられる可能性が高くなったりします。
早めに矯正を始めることで、お子さまの歯と顎を守ることができます。
3.小児矯正を行うデメリット4つ
小児矯正を行うデメリットは下記の4つです。
1)矯正の開始年齢が早いほど、矯正期間が長期間になる
2)大人になって、後戻りや歯並びに影響する癖(舌癖など)で歯並びが悪化し、再度矯正が必要になることがある
3)お子様本人の協力・やる気がないと、良い結果が出にくい
4)矯正中はむし歯になりやすくなるため、口腔内の管理がより一層必要になる
小児矯正のデメリットとして一番に挙げられるのが、開始時期が早ければ早いほど、矯正期間が長くなることです。
矯正をしているのになぜ矯正期間が長くなるの?と思われると思います。
期間が長くなる理由は、歯と顎の成長が関係しています。
顎の成長は、
・上顎の成長は11歳頃まで
・下顎の成長は16歳〜18歳頃まで
と言われており、顎の成長が終わる年齢まで矯正を行うことになります。
そのため、最少の3歳から始めると、10年以上の矯正期間がかかってしまいます。
また、その他にも、
・舌の癖などで再矯正が必要になるケース
・お子さまの協力がないと矯正治療の継続が難しくなる
・矯正器具で、よりむし歯になりやすくなる
などのデメリットもあります。
幼少期から親が主導で無理に矯正を始めてしまうと、やる気がなくなったり、矯正の痛みで更に矯正や歯医者さんが嫌になるなど、上手くいかないことがあります。
自分から治療に興味を持ってもらい、治療を始めることがベストです。
4.永久歯が順番に生えないと起こること
歯が正しく綺麗に並ぶには、順番通り生えてくることが重要です。
永久歯が生える順番は一般的に、
・上の歯は 6→1→2→4→5→3→7
・下の歯は 1→6→2→3→4→5→7
と言われています。
6~7歳頃に、6番目の歯(第一大臼歯)と下の前歯が最初に生えてきます。その後、9~11歳頃に、3~5番目の歯が生えてきます。最後に、12歳頃に、7番目の歯(第二大臼歯)が生えます。
永久歯が生えるタイミングは、個人差があります。
・先に生えている乳歯がむし歯などで早期になくなった
・遅くまで乳歯が残り過ぎている
などがあると、上記のタイミングで生え変わりできないこともあります。
その場合は、歯が正しい歯並びで生えることができない可能性があります。
歯並びの異常を早期に発見できるように、3ヶ月に1回のメインテナンスに通いましょう!
栗林歯科医院 歯科医師 監修