今回は、歯科医院で治療した後の、定期検診(メインテナンス)について、ご紹介します。
1.定期検診(メインテナンス)で行うこと4つ
2.定期検診(メインテナンス)をする理由3つ
3.定期検診(メインテナンス)の重要性ーむし歯ー
4.定期検診(メインテナンス)の重要性ー歯周病ー
5.定期検診(メインテナンス)の頻度
1.定期検診(メインテナンス)で行うこと4つ
栗林歯科医院では、2~3ヶ月に1回の定期検診(メインテナンス)を推奨しています。
定期検診(メインテナンス)で行うことは、下記4つです。
1)検査
お口の中の全体的な
・むし歯
・歯周病
・歯の揺れ
の検査を行います。
必要に応じて、染め出しを行ってばい菌を見えるようにし、歯みがきの仕方を確認します。
むし歯は、進行すると歯が溶けて黒くなり、そのまま放置すると、やがて神経が破壊され激しい痛みを伴います。
そして、最終的には抜歯を余儀なくされる怖い病気です。
むし歯は、目視とレントゲンで進行具合を確認します。
歯周病は、歯に付着したばい菌が原因で、歯を支えている骨が破壊され、最終的に歯が揺れて抜けてしまう病気です。
骨の状態は見た目で判断できないので、プローブという器具で行う検査と、レントゲンで確認します。
最終的な結果説明は、デンタルXというツールを使用し、患者様にも分かりやすいイラスト付きの診断書をお渡ししています。
イラスト付きの診断書がお手元にあると、お家に帰った後も、その日の結果を振り返ることができます。
お子様の検査結果も、その場にいなくても持ち帰り資料であとで確認することができます。
2)染め出し
歯に付着しているバイ菌は、通常だと目で見ることができません。
そのため、磨き残しがないか、染め出し液でバイ菌がどこに付着しているのか、分かるようにして確認します。
3)口腔内写真撮影
カメラで、お口の中の写真撮影をします。
写真撮影を行うことで、歯の裏側など普段自分では見えないところまで細かく見ることができます。
(場合によっては、染め出し前の口腔内写真撮影も行います)
また、1年に1回、お口全体のレントゲン撮影を行います。
理由は、骨の状態の確認やむし歯や歯周病がないかの確認と、歯ぐきの状態・噛み合わせが問題ないかを確認をするためです。
4)クリーニング
染め出しで染まったところを中心に、ばい菌を落としていきます。
当院は、EMS社の「エアフロープロフィラキシスマスター」という機械を主に使って、クリーニングを行います。
「エアフロープロフィラキシスマスター」は今までの、歯垢(プラーク)・歯石を削り取るスケーリングから、
・超音波を使って歯石を取り除くピエゾン
・糖パウダーを歯に吹き付けて、歯垢(プラーク)やばい菌の塊を除去するエアフロー
という2つの機能をあわせ持ち、レベルアップしました。
この機械は、ほとんど痛みを感じることなくバイ菌を落とすことができるのも特徴です。
また、歯の表面を傷つけずにしっかりとばい菌を落とすことができるので、歯に対する負担も軽減することができます。
エアフローで歯の表面が綺麗になったら、歯と歯の間のばい菌を除去していきます。
ばい菌を落とす方法は、フロスや歯間ブラシなどです。
患者さま一人ひとりに合ったアイテムを使って、除去していきます。
状況によって、歯みがき指導を行うこともあります。
2.定期検診(メインテナンス)をする理由3つ
定期検診(メインテナンス)を行う理由は、下記3つです。
1)病気(むし歯・歯周病)発症の予防、再発予防のため
2)病気の早期発見・早期治療を行うため
3)セルフケア(お家でのケア)の動機付け+プロフェッショナルケア(歯科医院でのケア)を行うため
お家で行う歯ブラシだけでは、歯についているばい菌を60%しか落とせず、歯と歯の間のばい菌を落としても、全体の90%しか落とせないと言われています。
セルフケア(お家でのケア)では限界があるため、歯科医院の専門の機械を使った、定期的なクリーニングが必要です。
また、むし歯や歯周病は治療すれば改善できますが、それとは別に、症状を引き起こす原因菌(バイオフィルム)を定期的に減らさないと、すぐに増殖してしまうので、その点でも定期検診(メインテナンス)が必要です。
成人の方でむし歯治療をする場合の多くが、過去に治した歯の再治療です。
歯は治療回数が増えれば増えるほどどんどん弱くなっていき、むし歯になるリスクが上がってしまうと言われています。
再治療になった歯は、歯そのものがだんだん少なくなり、最悪の場合、抜歯となって入れ歯やインプラントをすることになってしまいます。
特に根っこの治療をした歯は、見た目では悪くなっている様子が分かりにくいので、定期的にレントゲンで経過を確認する必要があります。
一度治療した歯は健康な歯よりも弱くなっているため、さらに治療を重ねないた目に定期的にチェックしていく必要があります。
「今はむし歯・歯周病はないから大丈夫」と思っている方も間に合ううちに、歯科医院で全体的なチェック、専門の機械を使ったクリーニングを受けて、歯の寿命を延ばしていきましょう!
3.定期検診(メインテナンス)の重要性ーむし歯ー
スウェーデンのアクセルソン博士が、むし歯の発生を6年間にわたって調べた研究があります。
アクセルソン博士は、
・むし歯治療を全て終えた後、1年に1回しか検診を受けなかった群
・むし歯治療・セルフケア指導を受けた後、3ヶ月に1回、定期検診(メインテナンス)をした群
という2つのグループを6年間追い、むし歯の発生を調べました。
結果、むし歯治療を全て終えた後、1年に1回しか検診を受けなかった群は、むし歯治療・セルフケア指導を受けた後、3ヶ月に1回定期検診(メインテナンス)をした群の2倍、むし歯が発生したと、いう結果になりました。
・きちんと1年に1回検診を受けても、むし歯の発生は防げない
・全てのむし歯を治療し終わっても、数年でむし歯になる
・治療は、むし歯の発生を防がない
という研究結果が、衝撃的なデータとして世界中に知れ渡りました。
自己流のブラッシングでは、必ずどこかにばい菌の磨き残しが出来てしまい、そこがむし歯になってしまうことから、定期的に歯科医院で磨き残しの確認と、除去をすることが大切です。
せっかく治療した歯も、定期検診(メインテナンス)を行わないと、またむし歯になってしまうリスクがあります。
3ヶ月に1回の定期検診(メインテナンス)に来院することが、むし歯の予防につながります。
4.定期検診(メインテナンス)の重要性ー歯周病ー
歯の表面にばい菌がつき始め、強い歯周病菌が発現するまでには、およそ3ヶ月かかると言われています。
つまり、定期検診(メインテナンス)時に行うクリーニングで、歯周ポケット内のお掃除をした後に、再び歯周ポケット内にばい菌の塊(バイオフィルム)が蓄積され始めるのが2週〜4週後、さらに3ヶ月経つと、歯周病のリスクが高い状態のお口の環境に戻ってしまいます。
そのため、3ヶ月ごとに歯科医院で定期検診(メインテナンス)をして、ばい菌やバイオフィルムを歯科医院で除去していく必要があります。
3ヶ月ごとの定期検診(メインテナンス)で、常に健康なお口の状態を保つことができます。
5.定期検診(メインテナンス)の頻度
しばらく歯医者に行ってないな、という方は、以下のチェックリストを参考に、ご自身のお口の中をチェックしてみてくださいね!
1)歯みがきすると歯ぐきから血が出る
2)冷たいもの、温かいものがしみる
3)歯の着色がある、歯石が気になる
4)歯がグラグラする
5)歯ぐきが腫れている
もちろん、日々のご自身の歯ブラシでお口のケアをしていくことも重要ですが、深くなった歯周ポケットは下の方までブラシが入って行きにくく、プロフェッショナルケア(歯科医院でのケア)も必要です。
定期検診(メインテナンス)に通うと、むし歯・歯周病の早期発見ができるため、病気を悪化させることなく、もし病気を見つけたとしても、早期発見・早期治療することができます!
歯の寿命を延ばすために、3ヶ月に1回歯科医院に通う習慣を身に付けましょう!
栗林歯科医院 歯科衛生士 監修