【お口の状態を「正確に」知るための大切な記録】
まず、一番大切な理由からお話しします。

それは、患者様ご自身のお口の中の状態を、私たちと患者様が一緒に、目で見て正確に理解するためです。
普段、鏡でご自身のお口の中を見ても、なかなか隅々まで見るのは難しいですよね。
特に、奥歯の裏側や歯と歯の間など、暗くて見えにくい場所がたくさんあります。
そこで、カメラでお口の中の写真を撮ることで、見えにくい部分もはっきりと写し出すことができます。
「ここに小さな虫歯があります」「この部分の歯茎が少し腫れています」と、言葉だけでお伝えするよりも、実際の写真を見ながらご説明することで、患者様ご自身に「なるほど、こうなっていたんだ」と納得していただきやすくなります。
治療が必要な場所を、私たちプロの目線だけでなく、患者様の目でも一緒に確認する。この「視覚的な共有」が、安心して治療の第一歩を踏み出していただくために、とても大切なことだと考えています。

【治療計画を「一緒に」立てるための共通の資料】
お口の写真という「共通の資料」があると、これからどんな治療をしていくか、という計画を立てる際にも、とても役立ちます。
私たちは、治療計画を立てることを、よく「地図を広げて目的地までの道のりを一緒に考える時間」に例えます。
お口全体の写真が、まさにその「地図」の役割を果たしてくれるんです。
例えば、いくつかの治療法の選択肢がある場合。
「この歯には、こういう治療法と、ああいう治療法がありますよ」と口頭だけでお伝えしても、なかなかイメージが湧きにくいですよね。
そんな時、写真の中のご自身の歯を指しながら、「こちらの治療法だと、隣のこの歯も少しだけ形を整える必要があります」「あちらの方法なら、この歯一本だけで治療ができますよ」といったご説明をすると、患者様はご自身の口の中で何が行われるのかを、具体的に想像しやすくなります。
「自分だったら、どっちの方法がいいかな」「先生、この場合はどうなりますか?」と、自然と質問も湧いてくるようになります。
私たちは、決して一方的に治療法を決めることはありません。この写真という地図を一緒に見ながら、患者様のご希望やライフスタイルに寄り添い、ご自身で「これなら安心できる」と思っていただける道を一緒に見つけていきたい。そのための、大切な共通の資料なのです。

【治療のビフォーアフターを「実感」していただくために】
治療が終わった後、私たちはもう一度、お口の写真を撮らせていただきます。それは、患者様ご自身の頑張りの成果を、はっきりと「実感」していただくためです。
特に、歯周病の治療を終えられた患者様に、治療前と治療後のお写真を見比べていただくと、多くの方が「わぁ!」と驚きの声をあげられます。
治療を始める前のお写真では、歯ぐきが少し赤く腫れぼったい印象だったかもしれません。それが治療後の写真では、キュッと引き締まり、健康的なきれいなピンク色になっている。その変化は、一目瞭然です。
「毎日頑張って歯磨きして、本当に良かった」「こんなに変わるなんて思ってもみませんでした」と、患者様が笑顔で仰ってくださる瞬間は、私たちにとっても何よりの喜びです。
地道な治療や毎日のセルフケアは、時に大変に感じられることもあるかもしれません。
だからこそ、この写真という「目に見える証拠」を通して、ご自身の努力が確かに実を結んだことを感じていただき、「これからも頑張ろう」という前向きな気持ちを持っていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

【浦安院ではこんな写真を撮っています。お口の中の状態がわかる「口腔内写真」】
まずご紹介するのが、お口の中の歯や歯ぐきの状態を詳しく見るための「口腔内写真」です。
少し小さな鏡をお口の中に入れさせていただき、歯の表側、裏側、噛み合わせの面などを、あらゆる角度から全部で16枚撮影していきます。
「ちょっと器具が入りますから、お口を楽にしていてくださいね」「はい、すぐに終わりますよー」など、お声がけをしながら進めていきますので、どうぞリラックスしてくださいね。
この写真があることで、先ほどお話ししたように、虫歯や歯周病の状態、歯並びなどを細部まで正確に把握することができるんです。
患者様からは「自分の口の中って、こんな風になっているんだ!」と驚かれることも多い、まさに“お口の健康診断書”とも言える大切な写真です。

【お顔全体のバランスも見る「顔貌写真」】
私たちは、お口の中の写真だけでなく、患者様のお顔全体の写真を撮らせていただくこともあります。「歯の治療なのに、どうしてお顔の写真まで?」と不思議に思われるかもしれませんね。
これは、お口元がその方の笑顔や表情に、どれほど大きな影響を与えているかを知るため、そして、治療によってその素敵な笑顔をさらに輝かせるために、とても大切なことなんです。
特に、前歯の治療を考える際には、このお顔の写真が大きな役割を果たします。例えば、ニコッと笑った時に、前歯がどのくらい見えるか。お顔全体とのバランスを見ながら治療計画を立てることで、仕上がりがより自然で、その方にぴったりと合った美しさになるのです。
私たちは、単に歯を治療するだけでなく、患者様一人ひとりの素敵な笑顔を創るお手伝いをしたいと考えています。そのためにも、お顔全体のバランスを拝見することは、欠かせないステップなのです。
【患者様の健康な未来を一緒に創るために】
これまでお話ししてきたように、お口の写真は、治療のため、記録のため、そしてコミュニケーションのためにあります。ですが、私たちが一番願っているのは、写真を通して、患者様ご自身がご自分のお口に「興味」を持ってくださることです。
写真は、ご自身のお口の中を客観的に見ることができる、またとない機会です。
「私の歯って、こんな形をしていたんだ」「この歯と歯の間は、特に丁寧に磨いた方が良さそうだな」――そんな風に、少しでも関心を寄せていただけると、日々の歯磨きが「やらなきゃいけないこと」から「自分のためにしてあげること」に変わっていくはずです。
ご自身のお口の健康の主役は、他の誰でもない、患者様ご自身です。私たち歯科医師や歯科衛生士は、その大切な健康づくりをサポートする、一番身近なパートナーでありたいと思っています。
定期的に写真を見ながらお口の変化を一緒に追いかけることで、セルフケアへの意識が高まり、それが虫歯や歯周病の予防に繋がっていく。
そうして守られた健康な歯は、5年後、10年後も、美味しい食事を楽しんだり、大切な方と気兼ねなく笑い合ったりできる、豊かな人生の土台となってくれるはずです。
その輝く未来を一緒に創っていくために、私たちはこれからも一枚一枚の写真を大切に撮り続けていきたいと思っています。


