今回は、歯根端切除術という処置についてご紹介します。
歯根端切除術は、外科処置です。
1.歯根端切除術を行った経緯
今回処置を行った患者さまは、食事中に噛むとお口の中に違和感があり、歯ぐきにできものができているという症状で来院されました。
他院さんで、1年前に根管治療(根っこの治療)を行い、セラミックスの被せ物をしましたが、症状が再発してしまいました。
根管治療を何度も行っていて、かつ、セラミックスの被せ物をセットしたばかりとのことだったので、歯ぐきの上から切開し、膿んでいるところを直接取り除く歯周外科のやり方で、歯を温存する処置をすることになりました。
2.歯根端切除術の手順
1)麻酔を行う
麻酔をします。
2)原因を取り除き、歯の先端を切除する
麻酔を行ったあと、歯ぐきを切開し、骨を削って、歯の根っこの先にある膿の塊を取り除きます。
その後、歯の根っこの先端を3mm削って除去しました。
何回も根管治療しても、治りが悪い状態の主な原因はばい菌です。
理由は、根管の形が複雑なため、消毒や薬剤を詰めることは難しいためです。
また、根っこの先端にヒビが入っているのも、症状が出る原因の1つです。
3)歯のチェック
歯の根っこを切断した後に青い染色液をつけて、歯にヒビが入っていないかを見ます。
この患者さんの場合は、歯にヒビが入っていませんでした。
4)切断した部分に薬を入れる
切断した歯の根っこの部分に薬を詰めます。
切断した歯の根っこの裏から薬を入れるにあたって、元々詰めてある薬を削り取って、スペースを作ります!
超音波の器具を使って、約3mm〜4mmの深さまで掘り進めます。
削りカスが残ってしまうと、そこにばい菌が溜まってしまうので、綺麗に洗い流します。
その後に、白い薬剤を入れます。
当院では、バイオセラミック系のパテ材料を使用しています。
この材料は、歯に空いた穴を詰めたり歯根の尖端部分を塞ぐなどで歯の組織の修復が可能です。
また、殺菌効果もあるので、ほとんどのばい菌を死滅させることができます。
5)歯ぐきを縫う
この後は、切開した歯ぐきを縫って終了です。
1週間ほど後に糸を取り、3ヶ月後に経過観察を行います。
歯を保存する方法の1つに、試根端切除術があります。
保存させる方法を使うことと、また、そうなる前に予防を心がけていきましょう。
栗林歯科医院 歯科医師 監修