A.日本の保険診療の長期成功率は、30%程度と言われています。
一方、専門医の長期成功率は92%と言われています。
(保険治療の成功率:東京医科歯科大学虫歯外来で調査した根管治療における根尖部X線像の発現率から計算
専門医の成功率:Ingle, J.I. : Endodontics. Philadelphia, 1965より初回治療の成功率を引用)
下記で詳しくご紹介します。
1.根管治療とは
2.根管治療の研究
3.当院の根管治療のコンセプト
1.根管治療とは
根管治療とは、ばい菌に感染した神経を取り除き、薬剤を詰める治療です。
2.根管治療の研究
2011年の根管治療の保険請求の金額は、初回の根管治療のやり直し治療が上回っているというデータがあります。
(2011年の日本国内1ヶ月の請求件数抜髄(初回治療)・・・50万387件
感染根管治療(やり直し治療)・・・62万4709件)
これは、根管治療を行なっても、再び根管治療が必要になっているということです。
なぜやり直し治療が上回っているのかというと、保険診療内で行うと時間・費用の制約があり、根管治療が適切に行えていないことが主な原因です。
唾液や歯垢(プラーク)には、大便と同じくらいのばい菌が含まれています。
歯の神経の治療は、心臓やお腹の手術と同じ外科処置です。
ラバーダムという、歯の根っこに唾液などを入れないための器具を使わないで行う処置は、トイレで心臓の手術を行なっているのと同じだと、トロント大学大学院歯内療法学講座 教授のDr. Shimon Friedmanさんは言っています。
根管治療の再治療を防ぐためには、ラバーダムを使った治療が必要です。
3.当院の根管治療のコンセプト
当院は、保険診療内で、ラバーダム・マイクロスコープ・CTを使用しています。
1)ラバーダム
ラバーダムは、治療する歯をお口の中と遮断する器具です。
唾液の中にはばい菌がたくさんおり、歯の内部に感染してしまうと再治療の可能性が高まってしまうので、それを防止する器具です。
2)マイクロスコープ
マイクロスコープは、歯の中を治療する時に、肉眼の20倍以上に拡大して見られる拡大鏡です。
肉眼のみだと見えない部分を手探りや感覚で治療しますが、マイクロスコープを使用すると、直接見ながら治療できます。
3)CT
CTは、2次元のレントゲン画像では把握できない複雑な歯の根の形や病気の部分もたくさんあります。
CTを撮影することで初めて原因が判明することも珍しくありません。
歯の根っこの治療を行う際は、設備が充実していると、長期成功率が上がるので、ご自身でも調べて見てくださいね。
根管治療が必要な方は、お気軽にご相談ください。
栗林歯科医院 歯科医師 監修