今回は、被せ物がどのくらいもつのか、をご紹介します。
前提として、被せ物は、ずっともつとは言えません。
理由は、歯とは違う素材のものを接着剤でつけ、自分の体重と同じくらいの力で毎日噛み続けているからです。
そのため、永久にもつとは言えません。
1.セラミックの年数
2.金歯(ゴールド)の年数
3.保険の銀歯の年数
1.セラミックの年数
セラミックは、
・5年間トラブルがなかった割合が96.7%(Fradeani 2005)
他の論文も、5年間の間におおよそ90%以上は問題がなかった、という論文が多いです。
理由は諸説ありますが、メリットとして、バイ菌がつきにくく、バイ菌が入りづらいことが挙げられます。
特に神経がない歯は、むし歯になっても気づかないため、バイ菌がつきにくく、入りづらいセラミックがおすすめです。
2.金歯(ゴールド)の年数
金歯(ゴールド)は、
・5年間トラブルがなかった割合が96%
・20年間トラブルがなかった割合が90%
というすごい論文があります。(Donovan 2007)
また、金歯(ゴールド)は金属アレルギーが起きにくく、歯との密着性が高いため、むし歯の再発を防止してくれたりと、さまざまなメリットがあります。
3.保険の銀歯の年数
最後に、銀歯は、
・5年間トラブルがなかった割合が74.8%
・10年間トラブルがなかった割合が55.8%
という論文があります。(青山貴則ら 2008)
おおよそ10年以内に、何らかのトラブルで被せ物が外れてしまったり、被せ物を外す必要があった、ということです。
銀歯は他の被せ物と比べてトラブルが多いですが、その理由の1つに、日本人の口腔衛生への意識の低さがあります。
日本ではむし歯などで歯を削った場合、保険診療で¥5,000程度で銀歯を入れることができます。
ですが、海外では保険がなことが多いので、有無を言わさずに自由診療のセラミックか金歯(ゴールド)を入れるしかなく、費用も1本10万以上かかります。
富裕層・貧困層は関係なく上記の費用がかかるため、そうならないように、海外では歯を大切にする方が多い、というのが理由の1つです。
もう1つの原因は、銀歯の素材にあります。
銀歯には40~50%の銀、20%のパラジウム 、12%のゴールドが含まれています。
シルバーリングを見ればわかるように、使っているとだんだん黒くなっていきますよね。
あれは、溶けて(イオン化して)酸素と結びついて黒くなっています。
お口の中の銀歯も同じような現象が起き、きちんと手入れをしていても、徐々に劣化してしまいます。
また、パラジウムは有毒でアレルギーの原因になるとも考えられています。
このように、被せ物1つをとっても、トラブルなくお口の中にいられる年数には、かなりの違いがあります。
噛み合わせが強い場合はセラミックではなく、ゴールドや割れにくいジルコニアなどを考えたり、選択肢は1つではありません。
治療を繰り返していくと、自分の歯がなくなっていき、最終的に抜歯になってしまいます。
被せ物を行う際は、値段だけでなく、ご自分の歯と身体を考えた選択をしてみてくださいね。
ですが、一番大事なことは、一番ベストは、被せ物を行わず、健康な自分の歯でいることです!
毎日の歯みがきやフロスなどを忘れずに行い、病気知らずのお口になりましょう!
栗林歯科医院 歯科医師 監修