妊産婦のお口の健康 ~妊娠性歯肉炎~

妊産婦のお口の健康

妊産婦は妊娠・出産・授乳等に伴う肉体的な変化(ホルモンバランスの変化)と、精神的な変化によって、お口に様々な影響を起こしやすい時期といえます。
妊娠に伴って生じやすいお口の中の問題として、虫歯の発生・増悪、歯肉炎の発生・増悪と、妊娠性歯肉炎の発生等、様々な問題が挙げられます。

本日はその中の”妊娠性歯肉炎”についてお話しします。

妊娠性歯肉炎

妊娠性歯肉炎は、一般的に妊娠2ヶ月目から顕著になり、8ヶ月で最大になるといわれています。

◇原因としては…

①女性ホルモンが増加することによって、妊娠性歯肉炎に特徴的な歯周病菌の発育が促進されるため
②妊娠による食嗜好の変化や、摂食回数の増加
③つわりによる歯磨きの困難

等が挙げられます。

しかし、いずれにしても妊娠が原因で妊娠性歯肉炎になるのではなく、お口の中にばい菌が残っている不衛生な環境があることで、引き起こされる病気です。
つまりは、お口の環境をきれいにしておくことで防げる病気なのです。

◇症状としては…

①歯肉が赤黒く腫れ、出血しやすい(部分的に症状が出ることもあります)
③痛みはみられないことが多い

◇治療法としては…

①徹底的な口腔内の衛生管理(歯ブラシ、フロス等)
②歯科医院によるお掃除
※歯科治療は妊娠安定期(妊娠5~7か月・16~27週)が良いとされています。

一般的な歯周病と同じく、ご自身での歯ブラシが1番の治療であり、予防法と言えますが、つわりの方など、実際は歯磨きが気持ち悪くなってしまい、できない方もいらっしゃると思います。
その場合は、②歯科医院によるお掃除に月に1回来ていただくことをおすすめしています。(出産直前まで来ていただくのがベストです)

◆歯周病と早産・低体重児出産の関連

妊娠中の女性が歯周病にかかると、口腔内が健康な母親と比較して、早産や低体重児出産のリスクが7.5倍になるといわれています。
他にも、虫歯菌を持つ親と同じ食器で食べさせることにより、虫歯菌がお子様へ感染していくこともあります。

自分のためにもお子様のためにも、定期的なメインテナンスを行い、健康なお口の中を保ちましょう。

何かわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

栗林歯科医院  歯科医師 監修

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